千葉県千葉市花見川区の税理士 徳山博章税理士事務所

タワーマンション節税に対する課税強化

平成27年1月から施行された相続税の改正により、基礎控除額の引下げなどが行われ税負担が増す一方で、節税対策としてタワーマンションを利用したスキームが注目を集めています。最近では行き過ぎたタワーマンション節税も増加しており、国税庁が注意喚起を行っておりますのでその内容をご紹介させていただきます。

タワーマンション節税のスキーム

タワーマンションの販売価格(市場価格)は、高層階になるほど高額になります。これに対して、相続税の財産評価では、土地については「路線価方式又は倍率方式」、建物については「固定資産税評価額」を使用して計算しますが、階数等の市場価格に大きく影響する要素を考慮しない計算方法となっているため、同じ所有持分・面積の場合には低層階と高層階での評価額も同額となり、結果として、タワーマンションの高層階の所有者は、実態よりも相続税評価額を少なくすることが可能となります。この評価額の乖離を利用し、相続前にマンションの高層階を購入した後、相続開始後に売却し相続税の負担軽減を図るスキームとなっています。

<相続税の計算方法>
建物の価額:固定資産評価額(建物全体の評価額×専有面積の割合)
敷地の価額:路線価or倍率方式 × 共有持分

<国税庁からの注意喚起>

タワーマンションの市場価格と固定資産税評価額は、国税庁の調査では平均3倍程度の価額差が生じており、国税庁は実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合には、これまでも財産評価基本通達6項を活用しており、今後も適正な課税の観点から財産評価基本通達6項の運用を行っていくとの見解を示しています。

上記の通り、タワーマンションについての評価方法の変更は現時点では行われておりませんが、国税庁主導での処理方針の協議が開始されており、チェックシートの導入などにより適切に6項が運用されるよう対応が進められています。このため、今後はタワーマンション節税を行う場合には、税務リスクが増加していくものと考えられますので、慎重に検討する必要がありそうです。

<財産評価基本通達6項>
他の通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

<参考文献>
税務通信 No3383号「全国税局等に6項適用を含め検討を指示」
No3397号「“タワマン節税”対応の行方は?」

担当:高橋 将史

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