千葉県千葉市花見川区の税理士 徳山博章税理士事務所

居住用超高層建築物に係る課税の見直し

平成29年度税制改正の『居住用超高層建築物に係る課税の見直し』によりタワーマンション等に係る固定資産税の見直しが行われます。タワーマンション等の超高層建築物全体に係る税額を各区分所有者に按分する際の計算方法が変更となり、高層階は増税、低層階は減税になる見直しとなります。
また、不動産取得税に対しても同様の見直しとなります。

見直しの対象となる居住用超高層建築物とは

①超高層建築物の基準

「超高層建築物」とは建築基準法で定義されており、高さが60mを超える建築物となります。
目安として、およそ20階建以上のマンション等が対象になります。

②対象となる建築物の建築時期

平成30年1月1日以降に新築され新たに課税されることとなる上記建築物が対象となります。
経過措置として平成29年4月1日以前に売買契約が締結された住戸を含む建築物は今回の見直しの対象とはなりません。

 

課税の計算方法が見直しとなる背景

従来は建物全体に係る税額を、総床面積に対する所有床面積の割合により各区分所有者に按分していました。この方法によると同じ面積の高層階と低層階の負担する税額が同じとなります。
一般的に高層階へ行くほど市場価格は高い傾向にある為、購入価格が大きく異なるにも関わらず、どの階層でも床面積が同じであれば同額の固定資産税が課税されてしまうという問題がありました。今回の見直しにより各階層ごとに税額を補正する計算方法が導入されます。

 

見直し後の具体的な計算方法

1階を所有面積の補正率100%として、階が一増えるごとに100%に39分の10を加えた補正率をかけた面積を按分計算上の所有面積とします。
たとえば所有面積が100㎡とすると按分計算上の所有面積は、
1階:100㎡×100%   =100㎡
2階:100㎡×100.2564% =100.2564㎡
3階:100㎡×100.5128% =100.5128㎡
このように増加していきます。
按分計算上の総床面積も増加しますので階層の中間地点では従来とほぼ同じ税額となり、中間地点より高層階へ行くほど増税、中間地点より低層階へ行くほど減税になります。
上記の他、階層により天井の高さ、付帯設備の程度等が著しい差異がある場合には、その際に応じた補正を行うことになりました。

<タワーマンション節税に対する影響について>

以前当トピックスでもご紹介しました「タワーマンション節税」への影響ですが、今回の改正の対象は固定資産税と不動産取得税の課税の際の計算方法に限られており、相続税の財産評価に対する補正は行われないとの見方が一般的です。仮に補正が行われたとしても40階で1割の補正にとどまる為、「タワーマンション節税」のスキーム自体への影響は限定的と考えられます。

担当:田村 大介

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