トピックス
  2010年度トピックス

小規模宅地等の特例制度の見直し(10.12.01)
みなし取得日の特例が平成22年12月31日で終わります(10.11.01)
グループ法人税制 中小企業向け特例措置の不適用(10.10.01)
扶養控除等の見直し(10.09.01)
生命保険料控除が改正されます(10.08.01)
グループ法人税制(10.07.01)
定期金に関する権利の評価方法の見直し(10.06.01)
資産税に関する平成22年度税制改正(10.05.01)
住宅版エコポイント制度の会計処理と税務ついて(10.04.01)
財産分与により居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の住宅ローン控除(10.03.01)
扶養控除の見直し「控除から手当へ」(10.02.01)
30万円未満の固定資産を購入した場合の一時損金算入制度が延長されます(10.01.01)



小規模宅地等の特例制度の見直し

  平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等について、評価減の特例制度が見直されることとなりました。

<改正の概要>
@ 適用範囲の見直し
宅地(借地権を含む) 改正前 改正後
上限面積 減額割合 上限面積 減額割合
事業用 事業継続 400u 80% 400u 80%
事業非継続 200u 50% 減額なし
不動産貸付 事業継続 200u 50% 200u 50%
事業非継続 200u 50% 減額なし
居住用 居住継続 240u 80% 240u 80%
居住非継続 200u 50% 減額なし
※事業継続又は居住継続とは、相続税の申告期限まで事業又は居住を継続する場合をいいます。

Aその他
 ・事業又は居住を継続する者としない者が宅地等を共同相続した場合には、取得した者ごとに適用要件を判定することになります。
 ・居住用の部分と貸付用の部分がある一棟のマンションの敷地等については、それぞれの部分ごとに按分して減額割合を計算することになります。
 ・居住用の宅地等が複数ある場合は、主として居住の用に供されていた一つの宅地等が適用対象であることが明確化されました。
みなし取得日の特例が平成22年12月31日で終わります


上場株式等のみなし取得日の特例が平成22年12月31日で終わりになります。今月のTopicsはそのみなし取得日の特例について紹介します。

<“みなし取得費の特例”とは?>
平成13年9月30日以前に取得して引き続き保有していた上場株式等を、平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡し、確定申告を行う場合、“実際の取得価格”と“みなし取得費”を比較して、いずれか有利な方を選択して、その譲渡損益を計算することができます。
なお、“みなし取得費”とは、平成13年10月1日における価額の80%相当額(1円未満は切上げ)のことを指します(平成13年10月1日以降、株式分割や併合等があった銘柄は、調整計算後の金額となります。)

(注1) 各金融商品取引所及び国税庁のホームページから平成13年10月1日における価格をご確認いただくことができます。
(注2) “みなし取得費の特例”を利用する場合には、平成13年9月30日日以前に取得した同一銘柄の上場株式等の全部に“みなし取得費”を適用して、譲渡損益を計算することになります。このため、同一銘柄の上場株式等の一部に“みなし取得費”を適用し、その他の部分に“実際の取得価額”を適用して譲渡損益を計算することはできません。



<取得価額の把握の仕方について>

平成23年1月1日以後、上場株式等の譲渡を行う場合、“みなし取得費の特例”が利用できなくなりますので、何らかの方法で取得価額を把握する必要があります。この場合、次の方法で取得価額を把握することが考えられます。



※上の@からCのいずれかの方法によっても上場株式等の取得価額を把握することができない場合には、譲渡金額の5%相当額を取得費とすることが可能です。
※手控えに取得の月だけしか記載がない場合には、その月の月中平均株価を取得価額とすることが可能です。
※相続により取得した上場株式等の取得価額は、原則として、亡くなった方(被相続人)の取得価額を引き継ぎます。

※今月のTopicsは日本証券業協会のリーフレットを引用させていただいています。

グループ法人税制 中小企業向け特例措置の不適用

平成22年10月1日からグループ法人税制が適用されることとなりました。
7月のTopicsで概要について紹介しましたが、今回は中小企業向け特例措置不適用の具体的項目について紹介します。

<対象法人>
資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等の間に完全支配関係がある100%子法人については、資本金1億円以下の法人であっても、中小企業向け特例措置は適用されないこととされました。

<特例措置が不適用となる項目>
次の5つが不適用の対象となります。
@中小企業の軽減税率
A特定同族会社の留保金課税の不適用
B貸倒引当金の法定繰入率
C交際費の損金不算入制度における定額控除制度
D欠損金の繰戻しによる還付制度
扶養控除等の見直し

 平成22年度の税制改正において、所得再分配機能の回復や「控除から手当て」との考え方の下、「子ども手当の創設」や「高校授業料の実質無償化の実施」とあいまって、「扶養控除等の見直し」が行われることとなりました。

(1)年少扶養親族(年齢16歳未満の者)の控除廃止
 現行制度では、扶養親族の所得控除は、要件(配偶者以外の親族で納税者と生計を一にしていること等)を満たせば38万円の控除が受けられます。
しかし今回の改正により、年少扶養親族(年齢16歳未満の者)は、扶養親族の条件から外れます。この改正により扶養親族の対象となる者のことを「控除対象扶養親族」と改められます。(表1参照)

(2)特定扶養親族の一部控除廃止
現行の特定扶養親族は、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上23歳未満の者をいいます。
そのうち、高校授業料の実質無償化の実施に伴い現行の特定扶養親族のうち、年齢16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(25万円)を廃止し、扶養親族の控除(38万円)のみになります。(表1参照)

(3)同居特別障害者加算の特例の改組
扶養親族または控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除または配偶者控除の額に35万円を加算する措置(同居特別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額に35万円を加算する措置に改められます。(表1・表2参照)

(4)適用時期
これらの改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

(表1) 扶養控除・配偶者控除
  現行(平成22年迄) 新制度(平成23年度より)
扶養控除 16歳未満 38万円 廃止
16歳〜18歳迄 63万円 38万円
19歳〜22歳迄 63万円
23歳〜69歳迄 38万円
70歳以上 老人扶養 48万円
同居老親 58万円
同居特別障害者加算 35万円加算 廃止(障害者控除へ改組)
配偶者控除 69歳迄 38万円
70歳以上 48万円
同居特別障害者加算 35万円加算 廃止(障害者控除へ改組)

(表2) 障害者控除
  現行(平成22年迄) 新制度(平成23年度より)
障害者 27万円
特別障害者 同居 40万円 75万円
同居以外 40万円
生命保険料控除が改正されます

平成24年1月1日以後に締結した保険契約等から、生命保険料控除が改正されます。

(1)平成24年1月1日以後に締結した保険契約等(新契約)にかかる控除

@ 介護医療保険料控除が新設されます(適用限度額40,000円)
A 一般生命保険料控除および個人年金保険料控除の適用限度額がそれぞれ40,000円に引下げられます(現行50,000円)。
B 各保険料控除の合計適用限度額は120,000円となります。計算式は、下記表1のとおりです。
 ※一般生命保険、個人年金、介護医療保険、それぞれ40,000円となります

表1.新契約にかかる生命保険料控除の計算式
年間の支払保険料等 控  除  額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等 × 1/2 + 10,000円
40,000円超 80 ,000円以下 支払保険料等 × 1/4 + 20,000円
80,000円超 一律40,000円
※一般生命保険、個人年金保険、介護医療保険、それぞれについて計算します。


(2)平成23年12月31日以前に締結した保険契約等(旧契約)にかかる控除
 従来どおり、一般生命保険料、個人年金保険について、それぞれ限度額を50,000円として適用が受けられます。合計適用限度額は100,000円となります。計算式は、下記表2のとおりです。

表2.旧契約にかかる生命保険料控除の計算式
年間の支払保険料等 控  除  額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等 × 1/2 + 12,500円
50,000円超 100 ,000円以下 支払保険料等 × 1/4 + 25,000円
100,000円超 一律50,000円
※一般生命保険、個人年金保険、それぞれについて計算します。


(3)新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除額の計算
 新契約と旧契約の双方について一般生命保険料控除または個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、下記のとおり計算した金額となります。
@新契約の支払保険料につき、上記「表1」の計算式により計算した金額
A旧契約の支払保険料につき、上記「表2」の計算式により計算した金額
※一般生命保険、個人年金保険それぞれの適用限度額は40,000円となります。
グループ法人税制

 今月は、平成22年度税制改正で導入されるグループ法人税制について取り上げます。

<グループ法人の範囲>
  グループ法人税制は100%資本関係がある法人を1つのグループととらえて課税する制度で、法人の100%内国子法人だけでなく、海外親法人の100%内国子法人や個人の100%子法人も対象となります。税法上では完全支配関係について「一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係」( 法法2十二の七の六 )と定義しており、完全支配関係では兄弟会社間や孫会社間等の関係が含まれることとなります。

  さらに、平成22年3月末に公布された法人税法施行令では、一の者が個人である場合の特殊関係のある個人を同族関係者の範囲と同様とすることとなりました( 法令4の2A かっこ書き)。
  例えば、長男が設立した100%出資の内国法人甲と、二男が設立した100%出資の内国法人乙がある場合、長男と二男は親族として同族関係者に該当することとなります。
  内国法人の甲及び乙は同じ一の者の完全支配関係にある100%子会社とみなされ、この場合にはグループ法人税制が適用されることとなります( 法令4の2A )。
  つまり、同族会社が完全支配関係にあるならば、グループ法人税制の適用対象となることとなります。

  また、法人税法施行令では@自己株式やA発行済株式総数の5%に満たない従業員持株会及びストックオプションによる取得株式を完全支配株式の判定から除外する規定がグループ法人税制でも設けられることとなりました( 法令4の2A 一,二)。


<グループ法人間の譲渡損益の繰延べ>
  完全支配関係がある場合には、グループ法人税制における内国法人間の取引として、譲渡損益調整資産の譲渡による譲渡損益の繰延べ( 法法61の13@ )が適用されることとなります。これは固定資産や土地、繰延資産など帳簿価額が1,000万円以上のグループ法人間で譲渡した場合に譲渡損益の課税が繰延べられるというものです。


<グループ法人間の寄附>
  完全支配関係がある内国法人間の寄附金については、完全支配関係にある他の内国法人に対する寄附金の全額は損金の額に算入されない一方( 法法37A )、他の内国法人が受けた受贈益の額は益金の額に算入されないこととなります( 法法25の2@ )。ただし、この場合の完全支配関係は「法人による完全支配関係に限る。」( 法法25の2@ と 37A のかっこ書き)とされていて、個人株主を頂点とする100%子会社の場合には,寄附金の受贈益は益金不算入とはなりません。


<中小法人の軽減税率の不適用など>
  グループ法人税制では、平成22年4月1日以後開始する事業年度から資本金5億円以上の親法人に係る100%子法人について、資本金が1億円以下の子法人に係る軽減税率( 法法66 )など中小企業特例の5項目が適用されないこととなりました。
定期金に関する権利の評価方法の見直し

今月は「定期金に関する権利の評価方法の見直し」について取り上げます

1.見直しの必要性  
 「定期金に関する権利」(年金受給権)についての相続税・贈与税の課税価格の計算方法を定めた相続税法第24条、25条の規定は、昭和25年当時の金利水準・平均寿命などを勘案して定められたものでした。
 その後の金利水準の低下や平均寿命の伸長、現行評価方法による算定額と年金受取額の現在価値が大きく乖離していることから、所要の経過措置を講じたうえで権利の評価方法の見直しをおこなうこととなりました。

2.改正前の評価方法(相続税法第24条、25条関連)
(1) 有期定期金・・・いわゆる確定年金です。
 年金支払期間に受けるべき年金の総額に、下の表の割合を乗じて計算した金額となります。ただし、1年間に受けるべき金額の15倍を超えるときは、その15倍に相当する金額によります。
年金支払期間の区分 割 合
5年以下 0.7倍
5年超〜10年以下 0.6倍
10年超〜15年以下 0.5倍
15年超〜25年以下 0.4倍
25年超〜35年以下 0.3倍
35年超 0.2倍

(2) 無期定期金・・・期限を定めずに給付をおこなう定期金です。
 無期定期金は「1年間に受けるべき金額の15倍」により評価します。

(3) 終身定期金
・・・いわゆる終身年金です。
 被保険者の年齢に応じた倍数を乗じて評価します。
年齢区分 倍 数
25歳以下 11倍
25歳超〜40歳以下 8倍
40歳超〜50歳以下 6倍
50歳超〜60歳以下 4倍
60歳超〜70歳以下 2倍
70歳超の人 1倍

(4)給付事由が発生していない定期金
 払い込まれた掛金の合計金額×払込期間から契約に関する権利取得までの経過期間に応じる下記の割合を乗じて評価します
経過期間 割 合
5年以下 0.9倍
5年超〜10年以下 1.0倍
10年超〜15年以下 1.1倍
15年超 1.2倍


3.改正後の評価方法
(1) 有期定期金・・・次の@〜Bのいずれか高い額により評価します。
 @ 解約返戻金相当額
 A 一時金相当額(定期金に代えて一時金の給付を受けられる場合)
 B 1年間に受けられる金額×約定利率の複利年金現価率 (残存期間に応ずるもの)

(2) 無期定期金・・・次の@〜Bのいずれか高い額により評価します。
 @ 解約返戻金相当額
 A 一時金相当額(定期金に代えて一時金の給付を受けられる場合)
 B 1年間に受けられる金額÷約定利率

(3) 終身定期金
・・・次の@〜Bのいずれか高い額により評価します。
 @ 解約返戻金相当額
 A 一時金相当額(定期金に代えて一時金の給付を受けられる場合)
 B 1年間に受けられる金額×約定利率の複利年金現価率 (平均余命に応ずるもの)
    
(4)給付事由が発生していない定期金・・・原則として、解約返戻金相当額により評価します

4.適用時期
(1)有期定期金、無期定期金、終身定期金
 平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に契約を締結して、相続等または贈与により取得する定期金、および平成23年4月1日以後の相続等または贈与により取得する定期金に関する権利については、改正後の評価方法により評価することとなります。

(2)給付事由が発生していない定期金
 平成22年4月1日以後の相続等または贈与により取得する定期金に関する権利については改正後の評価方法により評価することとなります。
資産税に関する平成22年度税制改正

今月は資産税に関する平成22年度税制改正のうち主な項目をご紹介します。

1.住宅取得等資金贈与の非課税措置の拡充
 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税限度額(改正前500万円)が、平成22年中に贈与を受けた場合には1,500万円、平成23年中の場合には1,000万円に引き上げられ、適用期限も平成23年12月31日まで延長されることとなりました。ただし、受贈者には所得制限が新たに付され、合計所得金額が2,000万円以下の人が対象となりました。
一方で、相続時精算課税制度での1,000万円上乗せ特例は廃止され、65歳未満でも適用できるとしている年齢要件の特例の方だけが2年延長されることとなりました。

2.小規模宅地等特例の見直し
 相続税申告における小規模宅地等評価減の特例は、相続人等による事業・居住の継続に配慮するため設けられた特例であるため、その趣旨を踏まえて次の3点の見直しが行われました。
@ 相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200uまで50%減額)を適用対象から除外
A 一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定
B 一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算

3.特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の譲渡資産の対価の限度額要件の追加
 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税特例について、譲渡資産の対価の額を2億円以下とする要件が追加され、平成23年12月31日まで2年間延長されることとなりました。

4.居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限の延長
 所有期間が5年を超える居住用財産を売却して、償還期間が10年以上の住宅借入金等を有する買換資産を取得した場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限が平成23年12月31日まで2年間延長されることとなりました。

5.特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限の延長
 所有期間が5年を超え、償還期間が10年以上の住宅借入金等を有する居住用財産を売却し、ローン残高が譲渡価額を超えている場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限が平成23年12月31日まで2年間延長されることとなりました。

6.給与所得者が勤務先から住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例の廃止
 給与所得者が勤務先から低金利で、その資金の貸付け等を受けた場合の「経済的利益」について、所得税が課税されないという課税の特例が、平成22年12月31日の適用期限の到来をもって廃止されることとなりました。
なお、平成22年12月31日以前に、勤務先から貸付け等を受けている給与所得者については、所要の措置を講ずるとして、引き続き特例の適用が受けられることとなりました。

7.省エネ改修、バリアフリー改修を行った住宅にかかる固定資産税の減税措置の延長
 省エネ改修工事又はバリアフリー改修工事を行った住宅(賃貸住宅を除く)について、改修工事が完了した年の翌年分に限り、固定資産税の税額の3分の1が減額される措置(1戸あたり省エネ改修は120uまで、バリアフリー改修は100uまで)が平成25年3月31日まで延長されました。

8.新築住宅にかかる固定資産税の減額措置の延長
 一定の床面積要件を満たす、新築住宅について、新たに課税される年度から3年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)に限り、120uまでの居住部に相当する固定資産税の2分の1が減額される措置が2年間延長され、平成24年3月31日新築分まで延長されることとなりました。

9.住宅特例適用住宅用土地にかかる不動産取得税の減額措置の延長
 住宅特例適用住宅用土地にかかる不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200uを限度)相当額の減額)が平成24年3月31日まで延長されることとなりました。

 ※定期金評価の改正については、来月詳しくご紹介いたします。

住宅版エコポイント制度の会計処理と税務ついて

住宅版エコポイントの概要
住宅版エコポイントとは、高い省エネ効果を有する製品を使用した、エコ住宅の新築、エコリフォームをした場合に、さまざまな商品・サービスと交換可能なエコポイントを取得できるという制度です。

<対象となる工事と期間>
■エコ住宅の新築…平成21年12月8日〜平成22年12月31日に着工した住宅
■エコリフォーム…平成22年1月1日〜平成22年12月31日に着工した住宅
 ※ただし新築・リフォームとも平成22年1月28日以降に工事が完了し、引き渡されたものに限ります

<申請期間・ポイント交換期限>
区分 申請開始 申請期限 ポイント交換期限
新築 一戸建て 平成22年3月8日 平成23年6月30日 平成25年3月31日
共同住宅(10階以下) 平成23年12月31日
共同住宅(11階以上) 平成24年12月31日
リフォーム 平成23年3月31日

<発行されるポイント数>
■エコ住宅の新築:一戸あたり 300,000ポイント
■エコリフォーム(単位:ポイント)
窓の断熱改修 内窓設置・
外窓交換
大(2.8m以上) 中(1.6m以上2.8m未満) 小(0.2m以上1.6m未満)
18,000 12,000 7,000
ガラス交換 大(1.4m以上) 中(0.8m以上1.4m未満) 小(0.1m以上0.8m未満)
7,000 4,000 2,000
外壁・屋根・天井・
床の断熱改修
外壁 屋根・天井
100,000 30,000 50,000
バリアフリー改修
(5万ポイントを限度)
手すりの設置 段差解消 廊下幅等の拡張
5,000 5,000 25,000


住宅版エコポイントの経理処理

 住宅版エコポイントは、ポイント受取時には経理処理は不要となり、ポイント利用時に、収益計上することとなります。法人又は個人事業者の事業にかかるポイントの場合はポイント利用時に雑収入に計上することとなり、一般の個人にかかるポイントの場合はポイント利用時に一時所得として税金の計算を行うこととなります。一時所得には50万円の特別控除があるので、暦年での利用ポイントが50万円を超えない場合には、課税されません(ほかの一時所得がないことが前提)。
 また、即時交換という制度があり、エコポイントを他の追加的な工事の費用に充当することもできます。即時交換の制度を利用すれば、外壁をリフォームした際に発行されたエコポイントで、同時に窓をリフォームするといったことも可能となります。
 この即時交換の制度を利用した場合には、値引きとして処理することとなります。
 以下、具体的な事例を用いて、経理処理を説明していきます。
 
<設例>
30,000,000円で住宅を新築。エコ住宅の新築に該当し、300,000ポイントを取得。
 
(1)法人 又は 個人事業者の事業にかかるポイントの場合
・建物完成時 (建物)30,000,000 / (現金預金)30,000,000
・ポイント受取時 処理不要
・ポイント利用時
 @ プリペイドカードに交換した場合 (貯蔵品)300,000 / (雑収入)300,000
 ※雑収入の消費税区分は不課税となります
 A 即時交換で追加工事を行った場合 (固定資産)300,000/(雑収入)300,000

(2)一般個人の場合(ほかに一時所得に該当する所得はないものとします)
・ポイント受取時 処理不要
・ポイント利用時
  一時所得として税金の計算を行います。

<一時所得の金額>
・(総収入金額−その収入を得るために支出した金額−特別控除額(上限50万円))×1/2
 設例の場合、30万円−30万円=0円 となるのでエコポイント利用にかかる課税はされません。
 

ほかの住宅関連の優遇税制との併用
 住宅版エコポイントは住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例などの、税制優遇制度との併用が可能となります。
財産分与により居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の住宅ローン控除

財産分与により居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の取扱い
居住用家屋について共有持分を追加取得した場合であっても「家屋を二以上有する場合には該当しない」とする国税不服審判所の裁決(平成21年2月20付)を受け、国税庁は平成21年2月27日、当初から有していた共有持分と追加取得した共有持分についても、住宅ローン税額控除が適用される取扱いに変更されました。

具体例 【夫が追加取得した共有持分のイメージ】

◎平成19年に居住用家屋(新築)を取得

◎家屋の取得対価の額→6,000万円 
 (夫3,000万円、妻3,000万円、それぞれ1/2共有)

◎取得時の資金→頭金1,000万円
 (夫500万円、妻500万円)
  金融機関からの借入金5,000万円
 (連帯債務、負担割合は1/2ずつ)

◎平成21年に離婚。財産分与により、夫が元妻の共有持分を取得するとともに元妻の債務を引き受ける
  (連帯債務の借入金は夫のみ)

◎平成19年〜21年の返済額は、夫、元妻のいずれも300万円とする


 夫が取得した元妻の共有持分に係る家屋の取得対価の額は、上記のケースでは、2,200万円となり、平成21年12月31日時点の住宅借入金の年末残高は4,400万円となります。従来からの夫の共有持分については平成19年居住年の住宅ローン税額控除が引き続き適用され、平成21年中に追加取得した元妻の共有持分については平成21年居住年の住宅ローン税額控除が適用されることとなります。
扶養控除の見直し「控除から手当へ」

  平成21年12月に公表された平成22年度税制改正大綱で、所得税と住民税の扶養控除が見直されることとなり、民主党が掲げる「控除から手当へ」という方向に一歩踏み出しました。
  政府は予算案に中学卒業まで月26,000円(平成22年度は13,000円)支給する子ども手当と高校授業料の無償化を盛り込みました。こうした直接的な手当の財源に充てるため、15歳以下の子供1人あたり所得から一定額(所得税は38万円、住民税は33万円)を差し引く扶養控除を廃止、高校生の子供がいる世帯に適用する特定扶養控除は縮小することとなりました。高所得者に有利な所得控除から低所得者に手厚い手当への切り替えを進めています。
  なお、マニフェストに明記した配偶者控除の廃止は今回見送られましたが、「今後見直しに取り組む」と表現されており、手当の財源として控除を廃止する可能性に言及しています。

改正スケジュール
2010年度 子ども手当半額支給
2011年1月 所得税の扶養控除廃止
2011年度 子ども手当全額支給
2012年6月 住民税の扶養控除廃止

2013年の手取りはこうなる(制度改正をすべて実施し、子ども手当は満額支給)
・前提条件…夫がサラリーマン、妻が専業主婦で、子どもは3歳以上

◎子ども手当⇒子どもがいればプラスに

@子供なし→影響なし

A中学生以下1人
  年収300万円 年収500万円 年収700万円 年収1,000万円
子ども手当支給 312,000 312,000 312,000 312,000
所得税増税 △19,000 △21,100 △45,000 △76,000
住民税増税 △33,000 △33,000 △33,000 △33,000
児童手当廃止 (小学生以下) △60,000 △60,000 △60,000 0
合計 小学生以下 200,000 197,900 174,000 203,000
中学生 260,000 257,900 234,000 203,000

B中学生以下2人
  年収300万円 年収500万円 年収700万円 年収1,000万円
子ども手当支給 624,000 624,000 624,000 624,000
所得税増税 △35,800 △40,100 △83,000 △152,000
住民税増税 △66,000 △66,000 △66,000 △66,000
児童手当廃止 (小学生以下) △120,000 △120,000 △120,000 0
合計 小学生以下2人 402,200 397,900 355,000 406,000
小学生と中学生 462,200 457,900 415,000 406,000
中学生2人 522,200 517,900 475,000 406,000

◎公立高校無償化⇒低所得者に手厚く

C高校生1人
  年収300万円 年収500万円 年収700万円 年収1,000万円
高校無償化 120,000 120,000 120,000 120,000
所得税増税 △12,500 △12,500 △25,000 △50,000
住民税増税 △12,000 △12,000 △12,000 △12,000
合計 95,500 95,500 83,000 58,000

※上記の表は大和総研や第一生命経済研究所が試算したもので、平成21年12月23日の日本経済新聞に掲載されたものを引用しています。
30万円未満の固定資産を購入した場合の一時損金算入制度が延長されます。

  平成21年12月に公表された平成22年度税制改正大綱で、中小企業または個人事業主が30万円未満の固定資産を購入した場合の一時損金算入制度が、平成24年3月31日まで延長されることとなりました。

制度の概要
青色申告書を提出する中小企業者等(注)または個人事業主が平成24年3月31日までの間に取得し、事業の用に供した減価償却資産については、取得価額が30万円未満のものを一時の損金の額に算入することができます。
なお、この適用を受ける取得価額の合計額が300万円を超える場合には、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの金額が限度となります。
(注)中小企業者等…資本金1億円以下の法人(資本金1億円超の法人1社が50%(2社以上の場合は2/3)以上の株式を保有している場合は該当しません)




少額資産を取得した場合の選択一覧表

  @少額減価償却資産 A一括償却資産 B30万円未満少額減価償却資産
取得価額 10万円未満 20万円未満 30万円未満
対象法人 全法人 全法人 青色申告法人、かつ、
中小企業者等
当期損金算入額 取得価額相当額 取得価額×1/3 取得価額相当額
損金経理
明細書の添付 不要
償却資産税の課税関係 不要 不要