トピックス
  2014年度トピックス

通勤手当の非課税限度額の引上げについて(14.12.01)
従業員に社宅や寮を貸した場合(14.11.01)
旅費日当による節税(14.10.01)
消費税軽減税率の素案公表(14.09.01)
給与所得控除の上限の引下げ(14.08.01)
個人事業主が法人成りした場合の税額比較(14.07.01)
軽自動車税・自動車取得税の改正(14.06.01)
簡易課税制度のみなし仕入率の見直し(14.05.01)
NISA口座 上場株式等の配当金の非課税は株式比例配分方式(14.04.01)
ゴルフ会員権等の損益通算の廃止(14.03.01)
交際費課税の特例処置の見直し及び延長(14.02.01)
平成26年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)(14.01.01)
通勤手当の非課税限度額の引上げについて
 平成26年10月20日に所得税法施行令の一部改正が行われ、交通用具(自動車やバイクなど)を使用している給与所得者に支給する「通勤手当の非課税限度額」が引き上げられました。

<改正の概要>

 改正後の1か月当たりの非課税限度額は、次のとおりです。

 通勤距離(片道) 非課税限度額
改正前
非課税限度額
改正後
2km未満 全額課税 全額課税
2km以上10km未満 4,100円 4,200円
10km以上15km未満 6,500円 7,100円
15km以上25km未満 11,300円 12,900円
25km以上45km未満 16,100円 18,700円
35km以上45km未満 20,900円 24,400円
45km以上55km未満 24,500円 28,000円
55km以上 ※新設 24,500円 31,600円

 この改正は、平成26年10月20日に施行され、平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されます。ただし、10月20日以前にすでに給与の支給が済んでいる分については、それまでの分の給与計算の再計算はせずに、平成26年の年末調整の際に精算する事になります。


<年末調整による清算>

 非課税限度額を超えて支払われた(課税された)通勤手当のうち、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額を集計します。集計された金額が、本年の給与総額から一括して差し引かれ、その差引後の給与の総額を基にして年末調整を行います。
 例:「2km以上10km未満」の通勤距離において、4月に支払われた通勤手当総額が4,500円のうち、新たに非課税となる部分は、改正前の非課税限度額(4,100円)と改正後の非課税限度額(4,200円)の差額100円となります。この計算を、4月1日から10月20日までに各月に支払われた通勤手当について行います。
※ 既に支払われた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である人については、この精算の手続は不要です。
※ 年の中途に退職した人など本年の年末調整の際に精算する機会のない人については、確定申告により精算することになります。

担当:橋本 拓也

従業員に社宅や寮を貸した場合
 会社が従業員に対し、社宅や寮を貸与している場合があると思います。今月はその際の従業員から受け取る賃貸料の取り扱いについてご紹介します。

<取扱い>

  従業員に対して社宅や寮を貸与する場合は、1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます)以上を従業員から受け取っていなければ、給与として課税されません。その賃貸料相当額とは、次の@〜Bの合計額をいいます。

@ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
A 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
B (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%  

 逆に無償で貸与した場合は上記の賃貸料相当額が給与として課税されてしまいます。また、賃貸料相当額より安い金額で家賃を受けとっている場合は、その金額と賃貸料相当額の差額が給与として課税されてしまいます。
 しかし、受けとった家賃が賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は給与として課税されません。


<実務上行われている例>

  原則は上記の計算により賃貸料相当額を従業員から受け取るべきですが、自社の建物等でないかぎり、上記の固定資産税の課税標準額等を知ることは手間がかかります。そこで、実務上は借上げ社宅等の家賃の半額程度を従業員から徴収しているケースが見受けられます。
 理由としては、家賃の50%を徴収していれば上記の賃貸料相当額をほぼ超えるためです。
 しかし、50%を徴収している場合は、従業員から多くとりすぎている場合もあります。 その場合は、借家人であれば、市区町村へ固定資産税の課税標準額等の閲覧及び証明を請求することができるようになりましたので、金額を確認したうえで賃貸料相当額を算出、徴収された方がよろしいかと思います。

担当:櫻井 賢宏

旅費日当による節税
 今月は、旅費日当の節税効果についてご紹介させていただきます。

<旅費日当の節税>

 旅費日当は、役員や従業員が出張に行く場合に、旅費や宿泊費とは別に支給するもので、出張に行くことにより本来使わずに済んだお金を会社が負担するという意味合いで支給されます。旅費日当は、受け取る個人側では非課税となり、所得税や住民税は課されません。また、会社側にとっては経費として計上でき、かつ、課税仕入であるため、法人税・消費税を抑える効果があると言えます。定期的に出張がある場合には、旅費日当を活用することで法人・個人の両方に節税効果が期待できます。 ※海外出張について支給する旅費日当については、消費税の取り扱いが異なります。


<具体例(会社側の節税効果)>

 社長が1ヶ月に4日出張に行った場合(1日につき2万円支給)
支給額:2万円×4日×12ヶ月=96万円
@法人税:96万円×35%=約33万円の節税
A消費税:96万円×8÷108=約7万円の節税
さらに個人では非課税で旅費日当を受け取ることができます。


<旅費日当の注意点>

 旅費日当を支給する場合には、以下の内容にご注意ください。

@社員全員が対象であること

 特定の役員だけに支給することは認められません。要件を満たした社員全員に支給されることが必要です。

A出張旅費規程の作成
 役職ごとの支給額やどのような移動が出張に該当するかを事前に定めておくことが必要です。支給金額については、明確には決められていませんが、社長で1〜2万円、役員5千円〜1万円、一般従業員3〜5千円などが一般的です。不相当に高額な支給は、給与として課税されるため注意が必要です。

B出張精算書等の作成・保管
 旅費日当は税務調査でもチェックされる内容です。出張に行った事実を証明できるよう「日付」「出張先」「出張の目的」などを記載した出張精算書を作成し、ホテル・タクシーの領収書などを貼付しておくことが望ましいといえます。

 今後、旅費日当の支給をご検討される場合には、担当者にお気軽にご相談ください。

担当:高橋 将史

消費税軽減税率の素案公表
 今月は、与党税制協議会より公表された「消費税軽減税率制度の素案」についてご案内させていただきます。

<軽減税率の対象分野>

 軽減税率の対象分野について、「まずは飲食料品分野を想定して検討」として、8種類のパターンが以下のとおり提示されました。全ての飲食料品を対象とした場合には税率1%当たり6,600億円の減収となっています。

  対象品目 税率1%あたりの減収額
@ すべての飲食料品 6,600億円
A @から酒類を除く 6,300億円
B @から酒類、外食を除く 4,950億円
C @から酒類、外食、菓子類を除く 4,350億円
D @から酒類、外食、菓子類、飲料を除く 4,000億円
E @から酒類、外食、菓子類、飲料、その他加工食品を除く 1,800億円
F 米、みそ、しょうゆ 250億円
G 精米 200億円


<区分>

 課税事業者に新たに発生する区分経理事務については4案が提示されました。

  概要
@ 区分経理に対応した請求書等保存方式
A @案に、売手の請求書交付義務等を追加した方式
B 事業者番号および請求書番号を付さない税額別記請求書方式
C 事業者番号及び請求書番号の記載を義務付けるEU型インボイス方式

 現行では、免税事業者からの仕入れについても仕入税額控除は可能ですが、インボイス方式を採用する際は、インボイスを発行できない免税事業者からの仕入税額控除は出来なくなる点や、経理事務の負担など、導入に向けた課題は少なからずあります。
 与党税制協議会では、関係事業者や国民の反応を踏まえ、9月から取りまとめに向けた議論を行い、今年12月までに結論を得て、与党税制改正大綱を決定するとしています。

担当:橋本 拓也

給与所得控除の上限の引下げ
 平成26年の税制改正におきまして、給与所得控除の金額が引き下げられることとなりました。

<改正の概要>

 給与所得控除とは、お給料をもらっている方の所得税や住民税を計算する場合に、給与収入から差し引くことができる控除分のことをいいますが、その給与所得控除の上限が引き下げられることとなりました。平成24年度の税制改正で一度上限が引き下げられましたが、今回の改正でさらに引き下げられることとなります。よって、高額な給与収入を得ている方は税負担が増えることとなりました。
 改正された金額は以下の表のとおりです。

  現行 平成28年度分の
所得税(注1)
平成29年度分の
所得税(注2)
上限額が適用される
給与収入
1,500万円 1,200万円 1,000万円
給与所得控除の
上限額
245万円 230万円 220万円


(注1)個人住民税については、平成29年度分について適用されます。
(注2)個人住民税については、平成30年度分から適用されます。

<計算例>

 給与収入1,500万円の場合
※各種所得控除は基礎控除のみとし、税額控除はないものと仮定します。また、住民税は考慮しておりません。

・現在:所得税(復興特別所得税含む)2,532,100円 
・平成28年度:所得税(復興特別所得税含む)2,582,700円 
・平成29年度:所得税(復興特別所得税含む)2,616,400円

 以上のように現在の状況から平成28年度では、50,600円の負担増となり、平成28年度から平成29年度では33,700円の負担増となります。

担当:櫻井 賢宏

個人事業主が法人成りした場合の税額比較
 よく、個人事業主のお客様から「いくら利益がでたら法人にしたほうがいいのだろうか」という質問を受けることがあります。
 一般的には、所得税は累進税率で法人税は固定税率(実際は累進部分ありますが)なので、その税率が交わるところで法人成りを検討してはどうかということが言われています。
 しかし、法人から役員報酬としてもらう場合には給与所得控除が適用されることや、その役員報酬をいくらに設定するかという条件によって、税額は大きく異なってくるので「いくら利益がでたら法人にしたほうがいい」というのは一概には言えないということになります。
 下記に法人成りした場合のシミュレーションをいくつか行ってみたので、法人成りを検討されているかたは参考にしてみてください。

<前提条件>

・個人事業の場合の青色控除は65万円とします。
・所得控除は基礎控除38万円のみとします。
・法人税等の実効税率は26%とします(中小企業の軽減税率があるため)。
・法人成りした場合の住民税均等割は7万円とします。

@ 利益が500万円の場合

    個人
(所得・住民
・事業税)
法人
(法人・住民
・事業税)
合計税額 節税効果
個人事業の場合 881,000 0 881,000  
法人成りして
役員報酬を
もらう場合
法人の利益の全額を
報酬でもらう場合
527,900 70,000 597,900 283,100
法人に利益を
2割残す場合
366,200 330,000 696,200 184,800


A 利益が700万円の場合

    個人
(所得・住民
・事業税)
法人
(法人・住民
・事業税)
合計税額 節税効果
個人事業の場合 1,589,500 0 1,589,500  
法人成りして
役員報酬を
もらう場合
法人の利益の全額を
報酬でもらう場合
1,004,000 70,000 1074,000 515,500
法人に利益を
2割残す場合
651,400 434,000 1,085,400 504,100


B 利益が1,000万円の場合

    個人
(所得・住民
・事業税)
法人
(法人・住民
・事業税)
合計税額 節税効果
個人事業の場合 2,714,000 0 2,714,000  
法人成りして
役員報酬を
もらう場合
法人の利益の全額を
報酬でもらう場合
1,840,000 70,000 1,910,000 804,000
法人に利益を
2割残す場合
1,278,100 590,000 1,868,100 845,900


※ 法人から報酬(給与)としてもらった場合は、給与所得控除が利用できる部分が個人事業の場合より、有利となります。
※ 資本金1,000万円未満の場合、消費税が2年間免税となります(例外あり)。
※ 法人の場合は生命保険金等の掛金が税務上認められた金額ならば限度額なく損金に算入できます(個人事業の場合は生命保険で年間12万円が限度(従業員の福利厚生等例外あり))
※ 法人の場合は従業員が1人でも社会保険の適用事業者となります(個人事業の場合は5人)。
軽自動車税・自動車取得税の改正
 今月は、「平成26年度税制改正」のうち「軽自動車税・自動車取得税」に関する改正をご案内させていただきます。

<軽自動車税の増税>

  軽自動車税は毎年4月1日時点で軽自動車を所有している場合に課される税金です。今回の税制改正では、平成27年4月1日以降に新車の軽自動車を購入・所有しているものを対象に、軽自動車税が以下のように現行の約1.25〜1.5倍に増税されることになりました。(実際に納めるのは平成28年4月以降)

平成27年4月以降の軽自動車税

※原付などの二輪車も今回の改正で増税となります。

 また、軽自動車の新車購入を促進するため、新車登録から13年を経過した軽自動車については、平成28年度以降の軽自動車税が以下のように変わります。

平成28年4月以降の13年経過した軽自動車の軽自動車税

軽自動車の新車購入を検討されている場合には、平成27年3月までに購入するのがお得です。

<自動車取得税の引き下げ>

  自動車取得税は、自動車の取引価額が50万円を超える場合にその取引時に課される税金です。この自動車取得税は平成26年4月1日より以下のように税率が引き下げられました。

平成2年4月以降の自動車取得税

 この自動車取得税については、消費税が10%に増税される際(平成27年10月予定)に廃止する予定で協議が進められています。ただし、自動車取得税の廃止と同時に、新しい税金が新設される可能性があり、消費税の増税も含めると結果的に負担額は増加することになりそうです。エコカーなどを対象とした減免制度は拡充されているため、うまく活用することで負担を軽減する方法も有効です。

担当 高橋 将史

簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
 今月は、「平成26年度税制改正」のうち「簡易課税制度のみなし仕入率の見直し」に関する改正をご案内させていただきます。

<改正の概要>

 簡易課税制度とは、売上高に係る預かった消費税に、一定割合(みなし仕入率)を掛けたものを、支払った消費税とみなすものです。課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、簡易課税制度の適用を受けることができます。

 今回の改正では、みなし仕入率について、主に次の見直しを行います。
@ 金融業及び保険業を第五種事業とし、そのみなし仕入率を 50%(現行60%)とする。
A 不動産業を第六種事業とし、そのみなし仕入率を 40%(現行50%)とする。

事業区分 (現行)みなし仕入率 (改正後)みなし仕入率
第一種事業(卸売業) 90% 90%
第二種事業(小売業) 80% 80%
第三種事業(製造業等) 70% 70%
第四種事業(その他の事業) 60%(金融及び保険業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50% 50%(金融及び保険業)
第六種事業(不動産業) 50% 40%

・金融及び保険業には、保険代理店業が含まれます。
・不動産業には、不動産賃貸業・駐車場業・不動産管理業・土地建物売買業・不動産仲介業が含まれます。
 このみなし仕入率の見直しにより、消費税額は不動産業では1.2倍に、金融及び保険業では1.25倍になります。
 簡易課税制度の適用をやめる場合には、やめる旨の届出が必要です。届出の提出期限は、適用をやめようとする事業年度の初日の前日まで(前事業年度の末日まで)です。また、簡易課税制度の適用を受けた事業年度から2年間は、この届出を提出することはできませんので、ご注意ください。
 なお、今回のみなし仕入率の改正の適用時期は、27年4月1日以後に開始する課税期間より適用となります。


担当 橋本 拓也

NISA口座 上場株式等の配当金の非課税は株式比例配分方式
 平成26年1月より少額投資非課税制度(NISA)が創設されました。NISA口座で取得した上場株式等の配当金や売却益は非課税とされることとなっておりますが、NISA口座で取得した上場株式等の配当金については、受取方法により、源泉所得税等が課税される場合、非課税とされる場合がございますので、今月はその概要についてご紹介いたします。

<配当金の受取方法>

 上場株式等の配当金の受取方法には以下のような方式があります。

株式比例配分方式 株式の配当金等を配当基準日における株式数に応じて各証券会社の取引口座で受け取る方法
配当金領収証方式 銘柄毎に直接、発行会社から配当金領収書等を受取り、郵便局等で配当金を受け取る方法
登録配当金
受領口座方式
複数の証券会社に口座がある場合でも、指定した1つの金融機関の口座で保有する株式の配当金を受け取る方法
個別銘柄指定方式 銘柄ごとに配当金を受領する口座を指定し、届出がなされた銘柄の配当金だけを指定した金融機関で受領する方式
 

<配当金領収証方式や個別銘柄指定方式は課税>

 NISA口座で取得した上場株式の配当金、上場ETF(投資信託)や上場REIT(不動産投資信託)の分配金を受け取る方法は上記のとおりです。どの受取方法でもNISA口座で取得した上場株式等の売却益に関しては非課税となりますが、上場株式の配当金等については「株式比例配分方式」しか非課税とならず、「配当金領収証方式」、「登録配当金受領口座方式」、「個別銘柄指定方式」を選択されている場合は、たとえNISA口座であっても復興特別所得税を含む20.315%が課税されることとなりますので注意が必要です。


<株式比例配分方式への変更は配当基準日まで>

 NISA口座で取得した上場株式等の配当金の受取方法を「株式比例配分方式」に変更する場合は、保有する銘柄の配当基準日までに変更手続きを終える必要があります。
 例えば、平成26年4月期決算法人が発行する上場株式等の配当金等を非課税で受け取る場合には、平成26年4月30日までに変更手続きをしなければなりません。
 変更手続きに要する日数は証券会社ごとに異なるようなので各証券会社に確認する必要がございます。
 以上のように、NISA口座で取得した上場株式等の配当金を非課税にするには、受取方法を「株式比例配分方式」とする必要がありますので、NISA口座開設時に選択していただくか、開設後に変更することが条件となります。


担当:櫻井 賢宏

ゴルフ会員権等の損益通算の廃止
  今月は平成26年度税制改正大綱のうち、「ゴルフ会員権等の損益通算の廃止」に関する改正をご案内させていただきます。

<改正の概要>

 ゴルフ会員権やリゾート会員権等の売却により生じた譲渡損失について、「譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える」ことになります。

 従来では、ゴルフ会員権等の売却により損失が発生した場合には、他の所得から損失額を控除し、税金を減額(還付)することが可能でしたが、今回の改正により、平成26年4月1日以降に行うゴルフ会員権等の譲渡損失については、この損益通算が適用されなくなります。

 個人で含み損が発生しているゴルフ会員権等を所有している場合には、平成26年3月末までに売却するか早期に検討するか必要がありそうです。

担当:高橋 将史

交際費課税の特例処置の見直し及び延長
 平成25年12月24日に発表されました「平成26年度税制改正大綱」のうち、民間投資と消費の拡大対策の1つである接待交際費に関する改正をご案内させていただきます。

<改正内容>
@交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入することとする。
(注)飲食のために支出する費用には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用(いわゆる社内接待費)を含まない。

 従来、資本金が1億円を超える大法人においては、「接待交際費」は、その全額が費用として認められませんでした。今回の改正において、接待交際費のうちの「飲食費」の部分の50%が、費用として認められることとなります。

A中小法人に係る損金算入の特例について、上記@との選択適用とした上、その適用期限を2年延長する。

 資本金1億円以下の中小法人においては、従来の「限度額800万円までの損金算入の特例」はそのままに、その期限が「平成26年3月31日までに開始する事業年度」だったものを「2年間延長」し、かつ@の特例と従来の特例とで選べるようになります。

 例えば、中小法人において年間1,000万円まで飲食交際費として使用した場合は、@の特例を適用すると、50%の500万円までが費用として認められることとなります。しかし、中小法人には年間800万円までなら費用として認めることができる特例がありますので、そちらの方が有利となります。
 @の特例を選択して有利になる場合というのは、「年間の交際費のうち、飲食代が1,600万円以上」の時になるので、中小法人においては稀なケースとなるでしょう。

 今回の改正は、大法人の交際費の飲食代部分の半分を経費として認めることで、積極的な消費を促し、景気浮揚効果を見込んでの改正となっています。中小法人は交際費800万円までが損金算入、個人事業主は事業に関係する交際費の全額が損金算入可能で、従来からの変更はありません。
 なお、今回の改正の適用時期は、26年4月1日以降に開始する事業年度より適用となりますので、ご注意ください。

担当 橋本 拓也

平成26年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)
 自由民主党、公明党両党が12月12日に「平成26年度税制改正大綱」を発表しました。下記に税目ごとにポイントをまとめました。

法人税

項目 内容 適用時期
復興特別法人税の
1年前倒し廃止 (減税)
復興特別法人税の課税期間を1年間前倒しして終了することとする(平成26年3月末で廃止)。 H26.3.31で廃止
大企業の交際費
(中小企業は選択適用)
(減税・新設)
交際費のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入する(現行では資本金1億円以上の法人は全額損金不算入)。
中小企業については、現行の定額控除限度額800万円までの全額損金算入制度との選択適用とする。
H26.4.1以降に開始する各事業年度


所得税

項目 内容 適用時期
ゴルフ会員権等の売却損の損益通算廃止
(増税)
譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える。 H26年4月1日以後
給与所得控除の上限の引下げ
(増税)
給与所得控除の上限について、次のとおり引き下げる
  現行 平成28年分 平成29年分以後
給与収入 1,500万円 1,200万円 1,000万円
給与所得控除 245万円 230万円 220万円
H28年分以後


消費税

項目 内容 適用時期
簡易課税の見直し
(増税)
消費税の簡易課税制度のみなし仕入率について、次の見直しを行う。
@ 金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を50%とする(現行60%)。
A 不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入率を40%とする(現行50%)。
H27.4.1以後に開始する課税期間


相続・贈与税

項目 内容 適用時期
医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予
(新設)
個人が持分の定めのある医療法人の持分を相続又は遺贈により取得した場合に、その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人(仮称)であるときは、担保の提供を条件に、持分に係る課税価格に対応する相続税額(又は贈与税額)については、移行計画(仮称)の期間まで納税を猶予する。 移行計画(仮称)の認定制度施行の日以後


自動車取得税・軽自動車税

項目 内容 適用時期
自動車取得税
(減税)
平成22年度燃費基準を満たす自動車等に対して課する自動車取得税の税率を次のように引き下げる。
@ 自家用の自動車(軽自動車を除く)3/100(現行5/100)
A 営業用の自動車及び軽自動車2/100(現行3/100) またエコカー減税の軽減割合を80%(現行75%のもの)、60%(現行50%のもの)にそれぞれ引き下げる。
H26.4.1以後
軽自動車税
(増税)
軽自動車にかかる税率を次のとおりとする。
  現行 改正案
乗用・自家用 7,200円 10,800円
乗用・営業用 5,500円 6,900円
貨物用・自家用 4,000円 5,000円
貨物用・営業用 3,000円 3,900円
H27.4.1以後


国際課税

項目 内容 適用時期
国際課税原則の見直し 外国法人に対する課税原則について、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法を、2010年改定後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に見直す。
個人課税についても外国法人に準じた取り扱いとする。
・H28.4.1以後に開始する事業年度(法人)
・平成29年分以後(個人)