千葉県千葉市花見川区の税理士 徳山博章税理士事務所

配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

今回は『平成29年度税制改正大網』より、『配偶者控除・配偶者特別控除の見直し』についてご紹介させて頂きます。

制度の概要

29年度税制改正では,配偶者の就業調整の要因となっている103万円の壁を取り払う目的で,配偶者控除・配偶者特別控除が見直されました。平成30年分の所得税から適用となる予定の配偶者特別控除について,配偶者控除と同じ38万円控除可能な配偶者である妻(夫)の所得の上限を85万円まで引き上げる措置などが講じられました。一方,配偶者控除を適用する者である夫(妻)に関して所得制限を設け,①1,000万円超を不適用,②900万円超1,000万円以下の範囲で控除額を逓減させる仕組みが導入されていく予定です。さらに②の対象者は,配偶者控除の適用は年末調整で一括処理されるため,1月から11月頃までの月給や賞与の手取り額は配偶者控除を考慮されないものとなるため、今まで以上に源泉徴収事務が煩雑になることが想定されています。

(1)配偶者控除について

納税者本人の合計所得金額 控除額
控除対象配偶者(70歳未満) 老人控除対象配偶者(70歳以上)
900万以下 38万 48万
900万超950万以下 26万 32万
950万超1,000万以下 13万 16万

※住民税の人的控除は割愛させて頂きます。

現行の配偶者控除は、配偶者の合計所得金額や納税者と生計を一にしているかなど配偶者自身の要件を満たせば38万控除又は48万控除が受けられましたが、今後は上記図表のように、配偶者の要件以外に納税者本人の合計所得金額により段階的に控除額が下げられるようになって行く予定です。

 

(2)配偶者特別控除について

① 合計所得金額900万円以下 ② 合計所得金額900万円超950万円以下 ③ 合計所得金額950万円超1,000万円以下
配偶者の合計所得金額 控除額 配偶者の合計所得金額 控除額 配偶者の合計所得金額 控除額
38万円超85万円以下 38万円 38万円超85万円以下 26万円 38万円超85万円以下 13万円
85万円超90万円以下 36万円 85万円超90万円以下 24万円 85万円超90万円以下 12万円
90万円超95万円以下 31万円 90万円超95万円以下 21万円 90万円超95万円以下 11万円
95万円超100万円以下 26万円 95万円超100万円以下 18万円 95万円超100万円以下 9万円
100万円超105万円以下 21万円 100万円超105万円以下 14万円 100万円超105万円以下 7万円
105万円超110万円以下 16万円 105万円超110万円以下 11万円 105万円超110万円以下 6万円
110万円超115万円以下 11万円 110万円超115万円以下 8万円 110万円超115万円以下 4万円
115万円超120万円以下 6万円 115万円超120万円以下 4万円 115万円超120万円以下 2万円
120万円超123万円以下 3万円 120万円超123万円以下 2万円 120万円超123万円以下 1万円

※住民税の人的控除は割愛させて頂きます。

現行は、控除が受けられる配偶者の合計所得金額は38万円超76万円未満でしたが、上記図表のように、38万円超123万円以下となりました。また、納税者本人の所得により適用される控除額も変わります。

 

(3)注意事項

社会保険も平成28年10月より法改正され、短時間労働者への保険適用の拡大がありましたので、自分が社会保険の扶養(所得税の扶養と定義が異なります)から外れていないかの再確認が必要になります。

担当:斎藤 正悟

【参考文献】
税務通信:3445号 所得税法等の一部を改正する等の法律案要綱
3446号 改正配偶者控除 所得制限措置で源泉実務に影響・早めの対応が必須
3446号 月々等の源泉徴収は「源泉控除対象配偶者」に限定へ

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