電子帳簿保存制度にかかる緩和措置
電子帳簿等保存に関する主な改正事項
「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の適用を受ける場合に作成しなければならない帳簿の範囲が、申告所得税・法人税について以下のとおり見直されました。
【見直し前】
①仕訳帳 ②総勘定元帳 ③その他必要な帳簿(全ての⻘⾊関係帳簿)
【見直し後】
①仕訳帳 ②総勘定元帳 ③その他必要な帳簿 (以下の事項に係るものに限定)
③における記載事項 | 帳簿の具体例 |
売上その他収入に関する事項 | 売上帳 |
仕入その他経費に関する事項 | 仕入帳、経費帳、資産台帳(所得税のみ) |
売掛金に関する事項 | 売掛帳 |
買掛金に関する事項 | 買掛帳 |
手形上の債権債務に関する事項 | 受取手形記入帳、支払手形記入帳 |
その他の債権債務に関する事項 | 貸付帳、借入帳、未決済事項に係る帳簿 |
有価証券に関する事項 | 有価証券受払い簿(法人税のみ) |
減価償却資産に関する事項 | 固定資産台帳 |
繰延資産に関する事項 | 繰延資産台帳 |
スキャナ保存に関する主な改正事項
国税関係書類をスキャナで読み取った際の解像度・階調・大きさに関する情報の保存を必要とする要件が廃⽌されスキャナ保存時に記録事項の入力を行う者、又はその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておくことを求める要件も廃⽌され、スキャナで読み取った際に帳簿と相互にその関連性を確認できるようにしておく必要がある国税関係書類が、重要書類(契約書・領収書・送り状・納品書等のように、資金や物の流れに直結・連動する書類)に限定されることとなりました。
電子取引データ保存に関する主な改正事項
⑴ 税務調査等の際に電子取引データの「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしている場合に検索機能の全てを不要とする措置について、以下のとおり対象者が見直されました。
①基準期間(2課税年度前)の売上高が「5,000 万円以下」の保存義務者
②電子取引データをプリントアウトした書面を取引年月日、その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている保存義務者
⑵ 次の①・②の要件をいずれも満たしている場合には、電子取引データを単に保存しておくことができることとされる新たな猶予措置が整備されました。
①保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合
②税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
※上記事項は令和6年1月1日以後に適用されます。
一部引用:国税庁
担当:泉谷 智美